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インランドエンパイアと洞窟の比喩

2019/03/22

インランドエンパイアと洞窟の比喩

インランドエンパイア で見せたかったことはプラトンの“洞窟の比喩“だったのではないか洞窟の比喩は「洞窟の奥につながれた囚人たちは火から映し出された影絵しか見ることができず,学ぼうとしない人々はそれに等しい」というもの.この比喩は常識からの「転換」を示している.私たちが普段認識しているものは影絵なのか,実物なのか,疑ったことはあるか.この映画ではスクリーンという影絵を利用して何重にも実在と影絵が交差しており,巧みにその境界をなくしている. 境界を曖昧にすることで,映画を観るものにその「転換」を促している.さらに冒頭のシーンでカメラレンズがこちらを向いており,観ているものそのものが演者であることを示しており,よりその主張を強めているように思う.また映画では,影絵は囚人が観るニセモノの何かであるだけでなく,それがまた現実や自分自身であることも示しており,さらなる「転換」を提案している.